8月22日現在、デルタ株感染爆発の影響で当院にかかられている妊婦様も新型コロナを発症される方が増えてきています。
予防を徹底して新型コロナに感染しないようにするのが一番ですが、
万が一、罹患してしまった時の当院の対応をお伝えします。

徹底した感染予防の観点から、新型コロナ陽性となった妊婦様は、症状消失後4週間経過するまで、他の妊婦様と一緒に行う、一般外来での受診を控えていただき、4週間後より改めて通常の妊婦健診を行っていただいています。
なお、症状軽快から4週間という基準は、厚労省の定める新型コロナ陽性後の献血基準を基に作成しています(血中から完全に新型コロナがいなくなり、輸血しても他人に感染させるリスクのない時期を示します)


妊婦健診(前期~中期)の対応

1)保健所の自宅待機期間(症状出現から10日+症状消失~3日間)
  新型コロナ陽性となった場合、自宅待機、外出禁止です。
  ★その間は、保健所と当院が連携して対応させていただいています。
  保健所からは緊急連絡先(番号非公表)を教えてもらえます。
  その間に症状が悪化した場合などは保健所の緊急連絡先か当院に連絡をして指示を仰いでください。
  ★ 自宅待機危難は当院より電話での体調把握をさせて頂いています

1-2) 救急搬送が必要な目安
  1時間に2 回以上息苦しい
  トイレに行くとき息苦しい
  心拍数が1分間に110 回以上
  呼吸数が1分間に20 回以上
  安静でも酸素飽和度が94%以下で回復しない
★ 上記の場合は、保健所か当院に連絡をください。

2)隔離期間終了後~より症状消失4週間までの期間
  他人に感染させる可能性は低くなりますが、安全を考慮しての期間となります。
  その間の緊急性のない通常の妊婦健診は行わず、受診を控えていただいております。
★ ただし、腹痛がある、出血があるなど緊急受診が必要な症状がある場合は、一般の妊婦さんとは導線を分けて受診をしていただいています。当院にご連絡ください)

3)症状消失4週間後、当院受診前にPCRを行っていただいています
  順調に回復していれば、約97%の方がこの時点でPCRは陰性となっています。
  陽性が続く場合、陰性になるまで一般外来の受診は控えていただきます。


妊娠後期対応(妊娠36週以降)の対応

1)陽性~保健所が定める自宅待機期間(症状出現から10日+症状消失~3日間)
・妊娠中のPCRスクリーニングで新型コロナ陽性となった患者様は、保健所と当院の指示を仰いでいただきます。
・自宅待機中に出産になりそうな場合は新型コロナに対応した施設に転院になります。
・当院は、万が一の陣痛に備えて、あらかじめ御家族に診療情報提供書をお渡します。
・妊婦健診中のスクリーニングで陽性となった患者さんは、ほとんどの方が問題なく高次医療施設に移れています。
・急に分娩が進行したなど、超緊急の場合には当院で初期対応をさせて頂いています(下記)。ただし当院は新型コロナに対応できている医療機関ではないため、出産後に高次医療施設に転院になります。

2)隔離期間終了後~より症状消失4週間までの期間
入院時にPCRを行います。
2-1)PCR陰性化していれば通常の分娩管理になります
2-2)PCR陽性なら、陽性に準じた管理をさせて頂きます。
 他人に感染させる可能性は低くなりますが、完全な否定もできないため感染対策に準じた出産方法となります
・出産は強制排気のあるビニールカーテンの中で行います
・夫立ち会いはできません
・産後は特室での管理となり、他の患者様と導線を分けるため室内のみで過ごしていただきます。自由な出入りができません(特室料金がかかります)
・特室が開いておらず、健康状態が問題ないなら早期退院をお願いすることがあります
2-2)の管理は、当院は産科専門クリニックであるため、万が一の他の患者様、他の新生児への感染防止を徹底するための措置になります。ご理解いただければと思います。

3)36週以降に新型コロナ濃厚接触者になってしまった場合の対応(入院時にPCR陰性の場合)
 今後新型コロナを発症する可能性があるため感染対策に準じた出産方法となります
・出産は強制排気のあるビニールカーテンの中で行います
・夫立ち会いはできません
・産後は特室での管理となり、他の患者様と導線を分けるため室内のみで過ごしていただきます。自由な出入りができません(特室料金がかかります)
・特室が開いておらず、健康状態が問題ないなら早期退院をお願いすることがあります
3)この処置は入院時にPCR陰性でも翌日に陽性になるケースが報告されているための措置になります。ご理解いただければと思います。

新型コロナ陽性妊婦の陣痛発来時の超緊急対応(入院時に陽性になった場合を含む対応)

新型コロナ陽性で自宅待機中や、入院時のPCRで陽性となった場合、保健所の手配が間に合わない場合があります。
母児分離を避けるため、可能な限り妊娠中の搬送の手配をしますが、すでに陣痛が始まっている場合などは手配が間に合わない場合が想定されます。その場合は当院での出産となりますが、当院では新型コロナ専用の分娩設備はありません。
・出産は強制排気のあるビニールカーテンの中で行います
・夫立ち会いはできません
・感染予防の観点から母子接触を行うことができません。(ビニールカーテン越しでの面会になります)
・出産後に本人と、新生児の搬送手配を行いますが、別々の病院になる可能性があります。
・消毒などにの料金は頂いておりませんが、出産のときに使用した防護服・マスク・フェイスガードなどの物品代は実費でいただいております(保険が効きません)
・産後は速やかに搬送を試みますが、搬送先がない場合は特室での管理となります(特室料金がかかります)
・他の患者様と導線を分けるため室内のみで過ごしていただきます。自由な出入りができません。
・母子同室ができません(新生児も新型コロナ感染症疑いのため)
・患者様の健康状態が問題ないなら早期退院をお願いすることがあります。



千葉県で新型コロナウイルスに感染した妊婦の入院受け入れ先が見つからず、自宅療養中に早産し新生児が死亡が生じた事案には、周産期医療に携わる医療者として大変心を痛めています。
産婦人科とNICUがある病院は限られており、かつ新型コロナにまで対応するとなるとほんの一部の病院でしか対応できません。同様な事案は日本全国どこでも生じる可能性があり、埼玉県内でも起こる可能性があると考えています。

妊娠中の新型コロナにかからないように、感染予防を徹底するとともに、ワクチン接種を行い、万が一の感染時に重症化しないような対策を取ってください。
いつの日か、皆様がマスクを外して笑顔で過ごせる日が戻ってくることを切に願っております。

2021/8/22 かわぐちレディースクリニック 院長 檜垣 博
2021/9/4 埼玉県産婦人科医会 産科リエゾン発令に伴い追記