できる限り目立たないよう、細心の注意を払って縫合します。
当院では、基本的に下腹部の目立ちにくい場所を横に切開します(横切開)。下着や水着に隠れる位置ですのでご安心ください。縫合には、形成外科的な技術を用い、また術後の傷跡ケアテープなどもご案内し、きれいな治癒を目指します。
「帝王切開」と聞いて、不安を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私たちは帝王切開を単なる「手術」ではなく、かけがえのない「お産」の形であると考えています。
お母さんと赤ちゃんの安全を最優先に守りながら、手術室でも「おめでとう」の言葉と笑顔があふれる、温かいお産を目指しています。これから始まる新しい物語を、私たちが全力でサポートいたします。
当院では、帝王切開であっても、自然分娩と同じように「家族の絆」を感じていただきたいと願っています。
そのため、手術室は無機質な場所ではなく、新しい家族が対面する「誕生の部屋」であると考え、ご家族の立ち会いを積極的に推奨しています。
「手術だから家族は待合室で待機」ではなく、「手術だからこそ、一番近くで支えてほしい」。それがかわぐちレディースクリニックの願いです。
手術中、お父さんはお母さんの枕元に座り、手を握ったり、声をかけたりすることができます。
麻酔が効いていても、意識ははっきりしています。「怖いな」と緊張した時、愛する人の手のぬくもりがあるだけで、血圧が安定し、痛みや恐怖心が和らぐことが医学的にも分かっています。
赤ちゃんが産まれたその瞬間、元気な産声を家族みんなで聞くことができます。
へその緒を切る処置などが終わりましたら、すぐに赤ちゃんと対面し、頬を寄せ合ったり、小さな手に触れたりする時間を大切にしています。
「頑張ったね」「生まれてきてくれてありがとう」。
あふれ出る想いを、その場ですぐに言葉にして伝えてあげてください。
当院では、お母さんが少しでも早く体力を回復し、笑顔で育児をスタートできるよう、ERAC:Enhanced Recovery After Cesarean Delivery(帝王切開後回復強化プログラム) を導入しています。
これは、「手術後は痛くて動けない」「ずっと絶食」という従来のイメージを変える、医学的根拠に基づいた新しいケアの形です。
体に過度な負担をかけないことで、産後の回復がスムーズになり、赤ちゃんのお世話も早くから楽しめるようになります。
これまでの帝王切開の常識と、当院が取り入れている「ERAC」の違いを比較しました。
当院では、「お母さんだから我慢する」という考えをなくし、「科学的根拠に基づいて楽に過ごす」ことを大切にしています。
| 項目 | 従来の帝王切開 (一般的な対応) |
ERAC導入後 (当院の取り組み) |
お母さんへのメリット |
|---|---|---|---|
| 手術前の入院 | 手術1日前の入院が基本、土日祝日が挟むとその前に入院する施設もある | 出産前は、なるべく家族で過ごしていただくために、手術当日に入院していただきます | ギリギリまで家族で過ごせるので手術前の不安が減ります |
| 手術前の絶飲食 | 前夜から水も食事も一切禁止。長時間の空腹とのどの渇き。 | 手術の数時間前まで専用の食事ができ、経口補水液を飲めます | 空腹感やのどの渇きによるストレスが激減。術後の回復力もアップします |
| 手術中の麻酔 | 痛みは取れるが、術後に強い吐き気が出ることがある。 | 複数の鎮痛法に積極的な「マルチモーダル鎮痛」と吐き気を感じる前に予防投与を組み合わせる優しい麻酔を行います | 手術中も意識がはっきりしており、気持ち悪くならず、赤ちゃんの産声をクリアに聞けます |
| 手術中の立ち会い | 手術室は一人で入ることが基本、術後まで新生児に会えない病院もある | お父さんや家族の立ち合いができ、出産を共有できる。生まれたばかりの新生児に面会することができ、触ることもできます | 夫婦で出産を共有することにより、お父さんが育児に入るきっかけの一つになります。お母さんに余裕があれば生まれたばかりの赤ちゃんと家族で写真を撮る方もいます |
| 術後の痛み | 「痛み止めは我慢した方がいい」という風潮がある。そもそも痛くて動けない。 | 定期的な痛み止め使用で、痛くなる前にコントロールします。「痛みを我慢しない」が基本です。 | 痛みが少ないため、リラックスして過ごせ、早期離床への恐怖心が減ります。 |
| 術後の水分・食事 | ガスが出るまで、または翌日まで禁止 | 術後、すぐに飲水開始。問題なければ早めに食事(流動食など)を再開します | 早期に栄養を摂ることで腸の動きが活発になり、体力回復が早い |
| 術後の動き出し | 術後1〜2日は絶対安静 | 早ければ当日、少なくとも翌日にはスタッフの介助で歩行開始(早期離床)します | 血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクが激減します。回復の実感が早いです |
| 赤ちゃんのお世話 | 痛みが落ち着くまで、赤ちゃんは新生児室へ | 体調が良ければ、術後早期から母子同室が可能です(預かることもできます)。授乳も早く始められます | 赤ちゃんとの絆が早期に深まる。退院後の育児に自信が持てるようになります |
「術後の痛みは耐えるもの」ではありません。痛みが強いと、交感神経が興奮し、回復が遅れてしまいます。
当院では、脊髄くも膜下麻酔(下半身麻酔)に加え、必要に応じて硬膜外麻酔や、点滴・内服薬など、作用の異なる痛み止めを組み合わせる「マルチモーダル鎮痛」を行います。
痛みがピークに達する前に先回りして抑えることで、リラックスして赤ちゃんに向き合える状態を保ちます。
従来は、手術前夜から絶飲食とされていましたが、長時間の脱水は術後の吐き気やふらつきの原因になります。
当院では、手術直前の入院時まで水や経口補水液(OS-1など)を飲んでいただけます。また、術後も2時間経てば水分摂取が可能になり、ガムを噛むことで腸の動きを促します。
お食事も早期に再開することで、母乳を作るためのエネルギーを確保します。
「お腹を切ったのに、すぐに動くなんて怖い」と思われるかもしれません。しかし、ずっと寝ていることは、足の静脈に血の塊ができる「血栓症」のリスクを高めるだけでなく、筋肉を衰えさせ、回復を遅らせてしまいます。
痛みをコントロールできているからこそ、早期に離床(ベッドから起き上がる)が可能になります。もちろん、最初はスタッフが体を支え、ゆっくりとペースに合わせて行いますのでご安心ください。
「早く元気になって、赤ちゃんをたくさん抱っこしたい」。その想いを、医療チーム一丸となってサポートします。
帝王切開を、もっと幸せで温かい家族の思い出に。
ERAC(術後回復強化)の導入により、入院は「手術当日」からで可能になりました。手術の直前まで、大好きなご家族とリラックスして過ごすことができます。
さらに、手術室での立ち会いも可能です。ご家族に見守られながら、新しい命の誕生を一緒に迎える感動は、一生の宝物になるはずです。
ギリギリまで家族と寄り添い、不安を安心と喜びに変える。家族の絆が深まる、笑顔あふれる出産を全力でサポートします。
ゆったりとお過ごしいただけるよう、退院までの流れをご案内します。
| お母さん | 赤ちゃん | |
|---|---|---|
| 手術当日 |
お母さん
|
赤ちゃん |
| 産後1日目 |
お母さん
|
赤ちゃん
|
| 産後2日目 |
お母さん
|
赤ちゃん |
| 産後3日目 |
お母さん
|
赤ちゃん
|
| 産後4日目 |
お母さん
|
赤ちゃん
|
| 産後5日目 |
お母さん
|
赤ちゃん |
帝王切開について、妊婦さんからよくいただくご質問をまとめました。
できる限り目立たないよう、細心の注意を払って縫合します。
当院では、基本的に下腹部の目立ちにくい場所を横に切開します(横切開)。下着や水着に隠れる位置ですのでご安心ください。縫合には、形成外科的な技術を用い、また術後の傷跡ケアテープなどもご案内し、きれいな治癒を目指します。
おおよそ1年程度あけることをお勧めしています。
子宮の傷がしっかりと修復されるまで時間を置くことで、次の妊娠時の安全性が高まります。1カ月健診などの際に、家族計画についてもご相談いただけます。
お父さんと実子ができます。ただし子供の立ち合いを希望する場合にはお父さんが面倒を見れる範囲でお願いします。手術中に子供が落ち着きを無くしてしまうとお父さんと一緒に退出する場合もありますのでご注意ください。未婚の方の場合で、かつパートナーが立ち会いたい場合には胎児認知が必要になります。
基本的には意識がある状態で行います。
背中から行う「脊髄くも膜下麻酔」を使用します。下半身の痛みは感じなくなりますが、意識ははっきりしていますので、赤ちゃんの産声を聞き、対面することができます。もし不安が強い場合や、気分が優れない場合は、すぐに眠れるお薬を追加することも可能ですので、遠慮なくおっしゃってください。
帝王切開は、命がけの立派なご出産です。
お腹を切って赤ちゃんを産むことが「楽」なはずがありません。陣痛の痛みとは違いますが、術後の痛みや回復への努力は、自然分娩と同じ、あるいはそれ以上のエネルギーを必要とします。私たちは、お母さんが勇気を持って手術に臨まれたことを深く尊敬しています。どうぞ胸を張ってください。
妊娠期間中、赤ちゃんを大切にお腹の中で育ててこられたこと。
そして今、手術という方法で赤ちゃんを迎えようとしていること。
そのすべてが、母としての深い愛情の表れです。
私たちは、手術の技術を提供するだけでなく、あなたの「産む力」と「回復する力」を最大限に引き出すサポーターでありたいと願っています。
手術室で流れる好きな音楽、握りしめたパートナーの手、そしてその場ですぐに赤ちゃんに会える環境。
それらのリラックスできる環境づくりも、大切な医療の一部です。
「ここで産んでよかった」。そう思っていただけるよう、医師、助産師、看護師、すべてのスタッフがチームとなって、あなたと赤ちゃんをお守りします。
不安なことは、検診の時でも、入院してからも、いつでも何度でも聞いてください。
新しい家族のスタートが、笑顔と安心に包まれたものになりますように。
そして、お子様の健やかな成長と、ご家族の幸せがずっと続きますように。